土田会計事務所:ミニ情報

キャッシュ・フロー計算書の概略

「キャッシュ・フロー計算書」ってなんでしょう?
キャッシュ・フロー計算書とは、現金及び現金同等物に限定して、会社の資金の変動を主に3つの活動内容に分けて、要約した計算書です。会社の資金を獲得する能力、債務の支払能力、配当金の支払能力並びに資金調達の必要性等に関して評価するための情報を、株主、債権者及びその他の利害関係者に提供することを目的としています。します。
(2004年9月)

キャッシュ・フローの分類

キャッシュ・フロー計算書は、キャッシュ・フローの増減をその性質によって、大きく次の3つに分類。

【1】 営業キャッシュフロー

本業の営業活動でキャッシュをどう生み出しどう使っているかを示す情報。
商品及び役務の販売による収入、商品及び役務の購入による支出(販売費・一般管理費に含まれる取引に係る支出を含)等、営業損益計算書の対象となった取引のほか、投資活動及び財務活動以外の取引によるキャッシュ・フローを記載。

(例)

【2】投資キャッシュ・フロー

将来の利益及び資金の獲得を意図した活動にどの程度の資金を投下したか、また、投下した元本をどの程度資金回収し、投下の果実としてどの程度の資金を獲得したかを示す情報。

(例)

【3】財務キャッシュ・フロー

本業を補完する財務活動でキャッシュをどう生み出し、どう使っているかの情報

(例)

 

「キャッシュ・フロー計算書」を作成して違いを比較

経営者が異なるA社・B社2つの会社がありました。偶然にも決算の内容がほとんど同じで、平成16年3月31日の決算の損益計算書の金額及び貸借対照表の期首の残高が一致していました。損益計算書が同じということは、会社の利益も同じですし、納める税金も同じです。それなのに、現金の残高がB社はほとんどありません。そこで、「キャッシュ・フロー計算書」を作成して両社の違いを比較してみましょう。

平成16年3月31日
A社・B社比較賃借対照表
資産 期首 期末
A社
期末
B社
負債・
資本
期首 期末
A社
期末
B社
現金・貯金 2,400 3,750 50
買掛金
1,000 0 1,300
受取手形 1,000 0 4,500
未払法人税等
150 400 400
売掛金 1,000 0 4,500
未払消費税
400 600 600
有価証券 700 700 700
長期借入金
1,500 1,000 5,000
たな卸資産 900 500 500
資本金
3,000 3,000 3,000
有形固定資産 500 900 900
利益剰余金
450 850 820
合計 6,500 5,850 11,150
合計
6,500 5,850 11,150

 

A・B社の損益計算書 自平成15年4月1日至平成16年3月31日
売上高 45,000
売上原価 26,400
販売費一般管理費 17,700
支払い利息 100
税引前当期利益 800
法人税等 400
当期純利益 400
前期繰越利益 450
当期末処分利益 850

販売費一般管理費内訳
人件費 12,000
減価償却費 100
消費税 600
その他経費 5,000
合計 17,700

決算は両方とも黒字だけど、お金の流れが違うらしい...

キャッシュ・フロー計算書(間接法)
  A社 B社  
A.営業活動によるキャッシュ・フロー      
(1)税引前当期利益(+) 800 800 営業活動によって稼いだキャッシュフローを投資に回し、さらに
(2)減価償却費(+) 100 100
(3)支払利息(+) 100 100
(4)売上債権の増加(ー)減少(+)額  2,000 -7,000
(5)棚卸資産の増加(ー)減少(+)額 400 400
(6)仕入債務の増加(+) 減少(ー)額 -1,000 300
(7)未払消費税の増加(+)減少(ー)額 200 200
(8)利息支払額(ー) -100 -100
(9)法人税等支払額(ー) -150 -150
営業活動によるキャッシュ・フロー 2,350 -5,350
B.投資活動によるキャッシュ・フロー
 
(1)有形固定資産税の増加(ー)減少(+)額
-500 -500 キャッシュ・フローここが大事
投資活動によるキャッシュ・フロー計 -500 -500
(A+B)フリーキャッシュ・フロー 1,850 -5,850
C.財務活動によるキャッシュ・フロー
 
(3) 長期借入金の増加(+)減少(ー)額
-500 3,500 増減金額よりも内容に注目。銀行からの借入や返済あるいは社債発行・償還の資金の動きが中心になるものの、株主への配当、自己株式の取得などの項目も入ってくるからです。
財務活動によるキャッシュ・フロー計 -500 3,500
D.キャッシュの増加・減少額(A+B+C)
E.キャッシュの期首残高
F.キャッシュの期末残高
1,350
2,400
3,750
-2,350
2,400
50

 

 

A社とB社の違いって何だろう

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、A社は+2,350、 B社は△5,350と大きな差が発生。

↓

売上の回収方法の違いから、このような差が生じる原因となっています。A社は得意先と契約で、商品の引渡しと代金の支払いは同時にしてもらい、これを忠実に守ってもらいました。一方のB社は、今までの取引の慣習によって、商品を納めた後の代金は、翌月以降、振込か手形で受け取っていました。

↓

売上が売掛金で計上された段階では、債権として表示され、これを回収し、現金化することが必要です。回収が遅れたりすれば、利益が出ても、お金がない状態が生じ、また貸し倒れのリスクも高まります。仕入や様々な経費の支払いそして毎月支払っていかなければならない銀行への借入れの返済等資金繰りの調整が混乱します。これではなかなか会社の営業に集中できません。いずれは、支払いのため銀行から借入を検討しなければ、資金繰りが間に合わないケースが生じます。実際B社は、銀行から4,000借入をしています( 「。財務活動によるキャッシュ・フロー」の項目中3.長期借入金  計算式 4,000(当期中借入額)−500(当期中返済額)=3,500 )。

 

投資キャッシュフロー・財務キャッシュフロー

投資活動によるキャッシュ・フローの△500の記載は、A・B社は有形固定資産として車両(500)を購入しています。「営業活動によるキャッシュ・フロー」がプラスとなっているA社は、積極的に設備投資をして、企業の活動を積極的に展開させる姿勢として評価されます。そして、残った「フリーキャッシュ・フロー」で、自己資本比率を高めるために、銀行からの長期借入金を返済することを検討することもできます。A社はある程度余裕をもった経営を行うことができます。一方のB社は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」が、△5,300となっているにもかかわらず、バランスを欠いた設備投資をしていました。翌期もこの調子が続くようでしたら要注意です。資金繰りの悪化の影響は、先に述べましたとおり「財務活動によるキャッシュ・フロー」の項目中長期借入金3,500の記載から、資金繰りが苦しい状態を伺い知ることができます。

「営業活動によるキャッシュ・フロー」をプラスにして、その資金を元手に設備投資の検討をすることが、大切です。

 

フリーキャッシュ・フローが大事

フリーキャッシュ・フロー(=自由に使えるお金)は本業の拡大や設備投資の元手になるもので、経営の自由度を高めるものとなっています。近年、金融機関も担保だけでなく、このフリーキャッシュ・フローを重視するようになっています。

キャッシュ・フロー = 自由に使えるお金

プラス本業の拡大、借入金の返済、手許資金の増大、設備投資、試験研究の推進

マイナス会社は金融機関に借入金を返すことができず、その状態が続くといつかは破綻してしまう

 

キャッシュ・フロー経営の時代

キャッシュ・ベースで経営するとは
@ まず儲けたお金がどこに消えたかを知ること
A 会計上の利益と手元のキャッシュとの間に介在するものをできるだけなくす

評価される会社とは....
こういう会社より こんな会社が評価される
決算書
利益  300
お金 △500
決算書
利益 100
お金 200

 

2004年9月

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